嘘つきな君
お洒落なカフェに、2人向かい合って座る。
ようやく『神谷常務』の免疫が出来てきた私は、今では真っ直ぐに彼の顔が見れる。
「そういえば常務は……その、社長のご子息と聞きましたけど?」
「あぁ、そうだけど」
「じゃぁ、次期社長なんですか?」
一息ついた所で、興味本位で聞いてみた。
だって、なんだか目の前に座る彼の事、もっと知りたいって思ったから。
だけど、途端に口を閉ざしてしまった彼。
瞳を伏せて紅茶を飲みながら、何も言ってくれない。
その姿を見て、ヒヤリとする。
え? あれ? 聞いちゃまずかった?
何? この間。
いきなり、図々しかった?
訪れた沈黙が重苦しい。
撤回しようと、慌てて口を開こうとした、その時。
「そうだろうな」
落ちたのは、どこか素っ気ない言葉。
まるで、他人事のような響き。
そんな彼の姿に違和感を覚える。
「あの……聞いちゃまずかったですか?」
「いや」
「そうですか……」
「芹沢は勤めて何年目になる?」
「えっと……私は4年目です」
「たしか大卒だから、26歳か」
「はい。――あの、常務は以前までどこの企業にいたんですか?」
「――」
「あ、いえ。風の噂で、重役に就く前は普通の企業にいたって聞いたもんですから……」
懲りずに立て続けに質問する。
これは、風の噂で流れてきた事。
1年前程に突然流れ星の様に、ホールディングスの重役に就いたという常務。
神谷一族だから、てっきり昔から会社の中枢を担っていたと思っていた私は驚き。
聞けば、普通の一般人と同じ様な企業で働いていたとか。
一体どんな仕事をしてたんだろ。
ようやく『神谷常務』の免疫が出来てきた私は、今では真っ直ぐに彼の顔が見れる。
「そういえば常務は……その、社長のご子息と聞きましたけど?」
「あぁ、そうだけど」
「じゃぁ、次期社長なんですか?」
一息ついた所で、興味本位で聞いてみた。
だって、なんだか目の前に座る彼の事、もっと知りたいって思ったから。
だけど、途端に口を閉ざしてしまった彼。
瞳を伏せて紅茶を飲みながら、何も言ってくれない。
その姿を見て、ヒヤリとする。
え? あれ? 聞いちゃまずかった?
何? この間。
いきなり、図々しかった?
訪れた沈黙が重苦しい。
撤回しようと、慌てて口を開こうとした、その時。
「そうだろうな」
落ちたのは、どこか素っ気ない言葉。
まるで、他人事のような響き。
そんな彼の姿に違和感を覚える。
「あの……聞いちゃまずかったですか?」
「いや」
「そうですか……」
「芹沢は勤めて何年目になる?」
「えっと……私は4年目です」
「たしか大卒だから、26歳か」
「はい。――あの、常務は以前までどこの企業にいたんですか?」
「――」
「あ、いえ。風の噂で、重役に就く前は普通の企業にいたって聞いたもんですから……」
懲りずに立て続けに質問する。
これは、風の噂で流れてきた事。
1年前程に突然流れ星の様に、ホールディングスの重役に就いたという常務。
神谷一族だから、てっきり昔から会社の中枢を担っていたと思っていた私は驚き。
聞けば、普通の一般人と同じ様な企業で働いていたとか。
一体どんな仕事をしてたんだろ。