嘘つきな君
手放した世界
「早く来い、芹沢」
「はいっ」
まだ纏め終わっていない資料をカバンの中に押し込んで、速足で部屋を出て行く常務の後を追う。
一応私も女なんだから、もう少しゆっくり歩いてほしいもんだ。
まぁ、そんな事この人にお願いした所で、叶うはずなんてないのだけれど。
「資料の準備は」
「できてます」
「チケットは」
「えっと――あ、ありました」
ゴチャゴチャと仕事道具が入ったバックを漁って、新幹線のチケットをかざす。
そんな私を横目で見てから、すぐにそっぽを向いた彼。
腕時計を確認しながら、あろう事か更に歩くスピードを速めた。
待て待て待て!!
早いってばっ!!
◇
「間に合ったぁ……」
「お前歩くの遅すぎ」
「常務が早すぎるんです。それに、お前じゃなくて芹沢です」
隣の席に座る常務を睨みつけてから、ペットボトルのお茶をがぶ飲みする。
久しぶりにあんなダッシュしたから、ヘトヘトだ。
「はいっ」
まだ纏め終わっていない資料をカバンの中に押し込んで、速足で部屋を出て行く常務の後を追う。
一応私も女なんだから、もう少しゆっくり歩いてほしいもんだ。
まぁ、そんな事この人にお願いした所で、叶うはずなんてないのだけれど。
「資料の準備は」
「できてます」
「チケットは」
「えっと――あ、ありました」
ゴチャゴチャと仕事道具が入ったバックを漁って、新幹線のチケットをかざす。
そんな私を横目で見てから、すぐにそっぽを向いた彼。
腕時計を確認しながら、あろう事か更に歩くスピードを速めた。
待て待て待て!!
早いってばっ!!
◇
「間に合ったぁ……」
「お前歩くの遅すぎ」
「常務が早すぎるんです。それに、お前じゃなくて芹沢です」
隣の席に座る常務を睨みつけてから、ペットボトルのお茶をがぶ飲みする。
久しぶりにあんなダッシュしたから、ヘトヘトだ。