嘘つきな君

「さ、仕事仕事」


こればっかりは慣れるまで待つしかないと自分を納得させ、頭を仕事モードに切り替える。

カバンの中からチョコレートを一粒取り出して口の中に放り込み、今日の会議資料を取り出す。

一応頭の中には入っているけど、念には念だ。

常務が困った時に、いつでもサポートできるようにしておかなければ。


相変らず、仕事は忙しい。

次から次へと仕事が入ってくる。

目が回りそうになるけど、逆にその忙しさが楽しかったりする。

求められる事が多くなって、自分の存在価値がそこに見出せるから。


「私って、仕事好きだったんだなぁ」


ペラペラと資料をめくりながら、そんな独り言を口走る。

まぁ、昔からその節はあった。

忙しければ忙しい程、仕事にやりがいがあると感じた。

その分、結果が見える仕事だったからだと思うけど。

秘書という仕事も以前の仕事とは少し違うけど、やりがいは感じている。


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