嘘つきな君
「――…ん」
不意に目が覚めたのは、あれからどれだけ経ってからか分からない。
変な格好で寝たからか、腰が痛い。
まだ眠気が残る中、重たい瞼をゆっくりと開ける。
すると。
「起きたか」
聞こえたのは、独特のハスキーボイス。
それを耳に入れた瞬間、一気に目が覚めた。
「やばっ、私寝ちゃってたっ」
「疲れてるのはどっちだ」
跳ね起きた先にいたのは、いつの間にか私のバックの中から取り出した資料を見つめる常務。
仕事用の黒のセルフレームの眼鏡をかけて、黒目がちな瞳を私へと移動させた。