朝、目が覚めたらそばにいて
「会社の同期です」

「ふーん」

「で、おいくつなんですか?」

「28」

「やっぱり、私と3つしか変わらないじゃないですか!」

「えっ?お前、25歳なの?」

「そうですが、何か?」

「いや、もっと下かと思った」

「小さいからですか?」

「見た目じゃない、言動だ」

「はぁ…よく登坂くんに言われます。あ、私のことはどうでも良いんです。正太郎さんのことを教えてください」

「は?何で」

自分で言って驚いている。
さっき店員さんに勧められたメニューにない日本酒を飲んで酔っているのかもしれない。
正太郎さんと再会して、彼のことをもっと知りたいという欲求がどんどん膨らんでいく。
彼とこうしてお酒を飲んでいることが嬉しくてドキドキして舞い上がる。

「知りたいからです!」

勢いよく言葉にすると正太郎さんは驚いた顔をしたが、ふっと笑った。

「わかった、なら先にお前のことを話すのが普通じゃないか?」

からかうように笑う正太郎さんの目尻が下がる。
少し考えてごもっともな意見に納得する。

「確かに!そうですね」

確かにそうなんだけれど、自分のことなんて原稿用紙1枚も埋まらない。
面白いことなんて一つもない。


< 31 / 72 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop