朝、目が覚めたらそばにいて
沙也加はいつも通りだ。
今はそれがありがたい。
昨日の出来事を鮮明に思い出すことは難しいけれど、おぼろげにいくつかは記憶が戻って来ている。

正太郎さんが笑ってくれると嬉しくて
正太郎さんと話することが楽しくて
正太郎さんと一緒にいる時間が終わってほしくなくて
日本酒を飲み過ぎたこと。
断片的な記憶の中、正太郎さんの腕の中に包まれていた時の気持ちが蘇ると胸がときめく。

ソファの前の小さなローテーブルにぎっしりと出来合いのおかずが並ぶ。
唐揚げにポテトサラダ、焼き鳥、お寿司、天ぷら…

「お腹は空いてるけど、こんなに食べられるかな」

沙也加はどうも家事全般が苦手のようだ。
これは何を選んでいいかわからなくてどれも買って来たのだろう。

「今日は禁酒ね」

「わかってる、沙也加は飲んでいいよ」

私の家にはビールくらいしか置いてない。
それも沙也加のためだけに置いてあるものだった。

「今日は私もいらない、食べよ」

「うん」
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