朝、目が覚めたらそばにいて
食事中は今日の会社の様子、課長が心配していたこと、明日の予定など会社の話が中心だった。
沙也加はあえて話題にしないのだろう。
食事を終え、沙也加が食べ終えた容器をまとめている間、私はコーヒーを淹れる。
クールビューティーな見た目に似合わず沙也加は甘党で砂糖もミルクもたっぷりだ。

片付け終わった沙也加がソファに座ってスマホをいじっている。
ローテーブルにコーヒーを置くと「ありがとう」と言いながらスマホをバッグにしまった。

沙也加と向かい合わせになるようにフローリングに座る。
我が家に沙也加が泊まる時の二人の定位置だ。
湯気がゆらゆらと揺れているコーヒーを見つめながら自分から昨夜の出来事を順を追って話し始めた。

サイン会に行ってトラブルを起こしてしまったこと。
正太郎さんに助けてもらったこと。
そのあと、二人で食事に出かけたこと。
話が合ってお酒が進んでしまったこと。
記憶がなくなって気がついたらホテルだったこと。

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