朝、目が覚めたらそばにいて
「で?連絡先とかわかってるの?」

「あ、うん、ちょっと待ってて」

書き置きされていたメモをバッグの中から取り出す。

「これが枕元に置いてあった」

「本人はいなくなっていたのね」

「…うん」

沙也加がそのメモをじっと見たあと、テーブルに置いてあった私のスマホを取り上げた。
メモを見ながらダイアルを押す。

「何してんの?」

「彼に電話」

そう言ったときはすでにスマホを耳に当てていた。

「ちょ、待って待って、沙也加!」

スマホを取り上げようとしてもリーチの長い沙也加の腕で私の頭を押さえたら太刀打ちできない。バタバタしているうちに電話が繋がってしまった。

「もしもし」

沙也加が相手の声を聞いた途端、眉間に皺を寄せる。

「もしもし、あれ?坂口さんの携帯じゃ…」

動きが止まった沙也加の手からスマホを奪う。
耳元に近づけたスマホからは想像していた声ではなく女性の声が聞こえた。
沙也加が間違えてダイアルを押してしまったのかということはなかった。


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