朝、目が覚めたらそばにいて


「お待たせ」

「お疲れ」

窓に向かって座れるカウンター席に座っていた登坂くんと並んで腰を下ろす。
テーブルにはショートサイズのコーヒーが二つ置いてあった。
長居する気は無いのだろう。

「コーヒーありがとう、お金」

「いいよ」

「おごり?わ、なんか頼みごと?私に」

「ひどい言われようだな、コーヒーくらいで」

あれ?いつもと同じような軽口に今日は突っかかる登坂くんの様子が少しいつもと違う。
会社の近くのカフェだからか、見知った顔も見かける。
いつものような感覚で場所をしてしまったけれど、カウンター席の登坂くんの背中側、数席先にチラチラとこちらを見ている女子社員に気がつきハッとする。登坂くんの部署の女性だ。

「ねぇ、あれ、登坂くんの部署の子じゃない?ごめん、誤解されるよね」

登坂くんが私の視線を向ける方へ振り返り軽く会釈をした。

「大丈夫?」

「何が?」

「だって彼女、登坂くんのことチラチラ見てるから。もしかしたら登坂くんのことを好きとかじゃないかなって」

「あのなー!」

少し大きな声で登坂くんが怒った。
びっくりして言葉が出ない私を見て「大声出して悪い」と謝ったけれど、不機嫌な顔はそのままだ。

「なんで怒ってんの?」

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