朝、目が覚めたらそばにいて
「しらけること言わないでよ、登坂くん。あ、登坂くんは千秋先生が綺麗すぎて惚れちゃうかもよ」
「その逆だったらどうするんだよ」
「あんな素敵な恋愛模様を描く先生は絶対に綺麗だよ」
「またお前の思い込みか」
「期待はソコソコの方がいいと思うよ」
沙也加も登坂くんも面白くないことをいう。
「もう!二人して夢がないな」
「出た、夢見る環奈」
「でもそれが山下だよな、お前はそれでずっと生きていけ、な!」
「バカにしてるでしょ?」
三人で会話しているとあっという間に整理券配布時間になった。
順番に整理券を貰う。
ゲットした三枚を全て私が握手する代わりに二人にはランチを奢ることになっている。
「三回握手するって言うことは三冊も同じ本を買うのか?」
握手会まで一時間以上ある。
ランチには中途半端な時間なので近くのカフェでお茶をしながら登坂くんが質問して来たので得意げに答えた。
「当たり前じゃん」
「いやいや、当たり前じゃないから」
登坂くんが呆れていると
「環奈の給料はこう言うことに消えてるんだよ」
「呆れるね」
協力してくれているのか、バカにしているのかわからない二人の会話はそのままスルーする。
だってもう直ぐ千秋先生と握手して新作にサインをもらえる。
今夜はその新作を心ゆくまで読みふける予定だ。