初恋の人
一人の看護婦が、息を切らしてやってきました。

「奥様。至急、お戻り下さい。」

「何かあったの?」

「治療が終わった方が、ショック状態になって……院長はまだ、手術中ですし……どうしましょう。」

当直の医者は一人でしたので、他に医者を呼ばなくてはなりませんでした。

「そうだわ。紳太郎さんは?」

「電話してみます!」

病院には、実家の方に内線の電話が通っていました。

私は、紳太郎さんへの電話をその看護師に任せて、玄関に倒れている残りの人を運ぶ事にしました。


処置室へ着くと、そこには手術をしている夫がいました。

「綾女か?」

「はい。」

私が返事をすると、弾が取り出される音がしました。

「紳太郎を、急いで呼んで来てくれ。」

「今、看護婦に内線で呼び出してもらっています。」

「そうか。」

全て、背中越しの会話でした。


そして2、3分経った頃でした。


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