初恋の人
「どうか、なさいましたか?」

「深雪さん……」

私は、心配して近づいて来た深雪さんの両肩を掴みました。

「深雪さん!紳太郎さんを見なかった?急いで病院を手伝ってほしいの!」

「えっ!居間にいませんでした?」

「それが、いなくて……」

「私も一緒に探します!」

深雪さんは庭に出ると、外からも紳太郎さんを探してくれました。


それを見ながら私は、紳太郎さんの部屋へと、急ぎました。

「紳太郎さん!」

中からは、何の声もしませんでした。

「開けますよ!」

ガラッと紳太郎さんの部屋を開けると、その中は真っ暗でした。

それでも、月の明りに照らされて、部屋の中は案外物が少なく、整理されているのが分かりました。


紳太郎さんらしい……

そんな事をふと、考えた時でした。


「奥様!紳太郎さんがいました!」

深雪さんの声に、私は振り返りました。

すると紳太郎さんは、深雪さんと一緒に走って来ました。
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