初恋の人
殴られて茫然と座り込んでいる紳太郎さんを残して、夫はまたお葬式の会場へと戻って行きました。
私はと言うと、初めて会った義弟の、殴られて起き上がれない姿を見て、不憫に思ったのか、紳太郎さんに手をそっと、差し伸べたんです。
それが、紳太郎さんとの出会いでした。
「紳太郎さん?」
私が声を掛けると、不思議そうに彼は顔を上げました。
「どうして、僕の名前を?」
「夫から聞きました。」
「夫?」
「あなたのお兄さんよ。私は、倫太郎さんの妻だから。」
そう言うと紳太郎さんは、やっと体を起こしたのでした。
「兄貴、俺が知らない間に、結婚していたのか。」
「お兄さん。あなたがいない間に、私と結婚する事。とても心苦しく思っていたのよ。」
私と倫太郎さんが結婚したのは、つい1カ月前。
婚約はしたものの、倫太郎さんは密かに、紳太郎さんが帰って来るまで、結婚は待つつもりだったのだと思います。
私はと言うと、初めて会った義弟の、殴られて起き上がれない姿を見て、不憫に思ったのか、紳太郎さんに手をそっと、差し伸べたんです。
それが、紳太郎さんとの出会いでした。
「紳太郎さん?」
私が声を掛けると、不思議そうに彼は顔を上げました。
「どうして、僕の名前を?」
「夫から聞きました。」
「夫?」
「あなたのお兄さんよ。私は、倫太郎さんの妻だから。」
そう言うと紳太郎さんは、やっと体を起こしたのでした。
「兄貴、俺が知らない間に、結婚していたのか。」
「お兄さん。あなたがいない間に、私と結婚する事。とても心苦しく思っていたのよ。」
私と倫太郎さんが結婚したのは、つい1カ月前。
婚約はしたものの、倫太郎さんは密かに、紳太郎さんが帰って来るまで、結婚は待つつもりだったのだと思います。