初恋の人
「綺麗な体……」

紳太郎さんは、私の肩から着物を脱がし、鎖骨の辺りから、私の肌を舌で舐め始めました。

久しぶりの快感。

でも、私は泣きそうなくらい、胸が痛かったのです。


「もう、終わりにして……」

紳太郎さんが、肌からその舌を放すと、私は涙を拭いました。

「どうせ、からかっているのでしょう?」

「……からかってるつもりなんて、ないですよ。それとも……しばらく会っていないうちに、僕の事忘れてしまいましたか?」

三つも年下の紳太郎さんの方に、余裕があるのが悔しくて、仕方ありませんでした。

「何よ。勝手にいなくなって……勝手に戻って来て……」

「義姉さん?」

「あなたが事故に遭ったと聞いて、どれ程心配したか……」

でも、紳太郎さんから返ってきた言葉は、意外なものでした。

「こんな僕でも、一応義理の弟ですからね。」

「違う!……弟とかじゃなくて!」

いつの間にか、私は紳太郎さんに、口づけをしていました。
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