初恋の人
結婚して、仕事を辞めてしまった今では、できない事ですけれど、あの頃はあの人の力になれるなら、看護婦になったのも悪くはないと思っていたんですよ。
そんな事を思い出していたら、今は今で、できる事があるのではないかと、ふと思えたんです。
「そうだわ。夜食でも、持って行こうかしら。」
私は、もう少しで夜間勤務が始まると言う時間に、簡単な夜食を作って、夫の元へ向かいました。
当直室への道のりは、勿論忘れてはいませんでしたよ。
静かな廊下を歩いて、一か所だけ明かりがついた当直室に行くと、そこには結婚前と変らずに、カルテと医学書、両方と戦っている夫がいました。
「あなた。」
夫は、私の声に一瞬だけ目線をくれましたが、また直ぐにカルテの方を見てしまいました。
「来ていたのか、綾女。」
「はい、夜食をお持ちしましたので、少しお休みになったら?」
「ありがとう。そこに置いてくれ。」
そんな事を思い出していたら、今は今で、できる事があるのではないかと、ふと思えたんです。
「そうだわ。夜食でも、持って行こうかしら。」
私は、もう少しで夜間勤務が始まると言う時間に、簡単な夜食を作って、夫の元へ向かいました。
当直室への道のりは、勿論忘れてはいませんでしたよ。
静かな廊下を歩いて、一か所だけ明かりがついた当直室に行くと、そこには結婚前と変らずに、カルテと医学書、両方と戦っている夫がいました。
「あなた。」
夫は、私の声に一瞬だけ目線をくれましたが、また直ぐにカルテの方を見てしまいました。
「来ていたのか、綾女。」
「はい、夜食をお持ちしましたので、少しお休みになったら?」
「ありがとう。そこに置いてくれ。」