ロマンスがありあまる
「僕と婚約したら、君たち家族の苦労はあっと言う間になくなるよ?

悪い話じゃないと思うんだけどなあ」

専務はククッと笑った。

悪魔だ…と、私は思った。

「どうしてそんなにも、私と婚約することを勧めるんですか?

専務のような人でしたら、女性なんて選び放題だと思いますよ。

なのに、どうして私と婚約することばかりにこだわっているんですか?」

昨日から思っていた疑問を全て専務にぶつけた。

「君だからいいって言っているんだ。

君だから結婚したいと、僕は思っている」

専務はそう言い返した。

ダメだ、全くと言っていいほどに話が通じていない。

「失礼します」

私はそう言うと、専務室を後にしたのだった。
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