ロマンスがありあまる
彼の言う通り、今日は来客の予定はない。

「何でも、“稲荷”がきたみたいで」

亀田さんに言われたことをそのまま専務に伝えたら、
「またあのキツネ女か…」

専務はやれやれと言うように息を吐いた。

「き、キツネ?」

何だそりゃ。

そいつはキツネみたいな顔をしているのだろうか?

そんなことを思っていたら、カツカツとヒールの音がこちらに向かってくることに気づいた。

バタン!

勢いよく、専務室のドアが開いた。

えっ、何?

そこに現れたのは、つり目の背が高い女性だった。

少なくとも、170センチ近くはありそう…。

ちなみに私の身長は156センチである。
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