ロマンスがありあまる
あっ、目がキツネのようにつりあがっているから“キツネ女”と専務は呼んでいたのね!

そのことに首を縦に振ってうなずいていたら、彼女――稲荷さんが私の方に視線を向けてにらみつけてきた。

こ、怖い…。

目がつりあがっていることも手伝ってか、なかなかの迫力がある。

稲荷さんは専務に視線を向けると、
「ちょっと、どう言うことなのよ!?」

専務に歩み寄ると、問いつめた。

えっ、今度は何?

「そのまんまの意味だけど」

稲荷さんの目に動じていないと言うように、専務はしれっと答えた。

えーっと、これはもしかしなくても“修羅場”ってヤツか?

「私と別れるって何なのよ!?

メールで送られて、“はい、そうですか”と納得できる訳ないでしょ!」

稲荷さんは早口でまくし立てるように言い返した。
< 30 / 107 >

この作品をシェア

pagetop