ロマンスがありあまる
「僕の秘書に向かって、“地味女”はないんじゃない?

彼女にも魅力はあるんだ、今すぐに発言を撤回して欲しい」

専務は稲荷さんに言い返した。

「撤回なんてしないわ!

何がえらそうに、“魅力はある”よ!

彼女はお金目当てでね、この人とつきあっているのよ!

そんな女とはとっとと縁を切って、今すぐに私とつきあって!」

早口でまくし立てるように言い返した稲荷さんに、
「君だって、半分はお金目当てで僕とつきあっていたじゃないか」

専務は呆れたと言うように言い返した。

「デートに出かけた時、君から1回もお金を出してもらった試しがないね。

半分どころか、1円も出してくれなかったじゃないか」

「なっ…!」

言い返された稲荷さんはワナワナと震えていた。
< 34 / 107 >

この作品をシェア

pagetop