ロマンスがありあまる
「僕が君の結婚相手のことを何にも知らないと思った?

前科持ちだと困るからね、ちゃんと調べているんだ」

うわーっ、そこでも“前科持ち”だからと言う理由で調べるんだ…。

と言うよりも、恐ろし過ぎるんですけど…。

「結婚相手は相当なまでに君のことを気に入っているらしいからね。

このことが相手にバレたら、相当なまでの怒りを買いそうだね」

専務は他人事のようにクスクスと笑うと、スマートフォンを動かそうとした。

「ご、ごめんなさい!」

それをさえぎるように、稲荷さんは躰を2つ折りにして謝った。

「じゃあ、別れは受け入れるんだね?」

そう聞いてきた専務に、
「はい、もちろん…!」

稲荷さんは顔をあげると、コクコクと首を縦に振ってうなずいた。
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