ロマンスがありあまる
専務はキョロキョロと周りを見回すと、
「君の秘書は?」
と、名取さんに聞いた。

「ああ、桃子なら…」

名取さんが視線を向けると、向こうからパンツスーツの女性がこちらに歩み寄ってくるところだった。

ひょえーっ、こっちもこっちで背が高いなあ…。

美しい黒髪をひっつめ髪にした眼鏡がよく似合う美人だった。

「よかった、いいところに戻ってきてくれて」

名取さんが彼女に声をかけたら、それに返事をするように小さく頭を下げた。

「俺の秘書の名取桃子」

名取さんはそう言って彼女のことを紹介した。

えっ、名字が一緒なんだけど…。

もしかして、夫婦なのかな?

そう思っていたら、
「兄妹なんだよ」

専務が教えてくれた。
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