ロマンスがありあまる
えっ、何…?

気がついた時、私の唇と専務の唇は重なっていた。

こ、これって…!?

専務の唇が私の唇から離れた。

「――ッ…!」

専務は私から目をそらすと、指先で自分の唇に触れた。

これは、もしかしなくても…!?

私の唇は、間違いなく専務の唇と重なった。

つまり、“専務とキスをしてしまった”と言うことである。

まさかのファーストキスがこんな形ですることになってしまうなんて…!

どうしよう、どうすればいいんだ…!

専務の顔を見るのが怖くて、私は彼から目をそらした。

唇には、まだ彼の唇の感触が残っている。

これは事故だ、あきらかな事故だ…!

私と専務がキスをしてしまったのは、どこからどう見ても事故じゃないか!

動揺しているこの気持ちを自分に言い聞かせて、落ち着かせようとした。
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