ロマンスがありあまる
地下駐車場に駐車してあった専務の車に専務と一緒に乗り込むと、私は息を吐いた。

ああ、やっと帰れる…。

そう思っていたら、
「――さっき…」

専務が声をかけてきた。

「はい?」

そう聞き返したら、
「キスしたね」

そう返事をした専務に、私の心臓がドキッ…と鳴った。

「したと言っても、あれは事故じゃないですか。

専務の肩と招待客の肩がぶつかって、それでバランスを崩して…」

私が言っているその間、心臓はドキドキとうるさいくらいに鳴っていた。

落ち着け、落ち着くんだ、この音が専務に聞かれてしまうぞ。

そう自分に言い聞かせても、心臓は鳴っている。

「君は言ったよね?」

「はい?」

何の話をしているんだ?

そう思っていたら、
「“僕に愛されている証明が欲しい”って」

専務が言った。
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