ロマンスがありあまる
立場が向こうの方が上とは言え、年下のくせに何でこんなにも落ち着いているのだろう?

年上のくせにカッカしている自分が滑稽である。

と言うか、
「はい?」

私は聞き返した。

「だから、キスはしたじゃないかって」

専務はそう言い返した。

頭の中に浮かんだのは、昨日の出来事だった。

事故でのキスと車の中でのキスである。

「既成事実はあるんだから」

そう言った専務に、
「それで婚約をしたなんて、私は認めません」

私は言い返した。

心臓がドキドキと鳴っているのは、昨日交わした専務とのキスを思い出したせいだろうか?

「周りには婚約のことを宣言したんだ、抵抗するのはあきらめた方がいいと思うよ」

専務が言った。
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