ロマンスがありあまる
思い出しただけなのに、頬が熱くなった。

いかんいかん、落ち着け落ち着け…。

深呼吸を何回もして、自分の気を落ち着かせた。

今日は専務と一緒に式場視察がある。

つまり、嫌でも専務と顔をあわせると言うことである。

こんなところでドキドキしていたら、仕事が終わるまで気が持たないぞ。

そう自分に言い聞かせると、私はトイレから立ち去った。

「失礼します」

その足で専務室へと顔を出すと、
「ああ、もう時間か」

書類の確認をしていた専務は椅子から腰をあげた。

ジッ…と、専務が私の顔を見つめた。

「…何ですか?」

何故か私の顔を見つめる専務に、私はどうすればいいのかわからなかった

私の顔なんて、毎日と言っていいほどに見てるよね?

特に珍しいって言う訳ないよね?
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