ロマンスがありあまる
必要なものと言えば必要なものではある。

私もオーガニックのことはわからないけれど、悪いものではないのは確かなことである。

「それをくれたのは、あくまでも僕の姉さんの彼氏なんだからね?」

専務が私の顔を覗き込んできたかと思ったら、そんなことを言った。

「わかってますよ」

そう言い返した私に、
「間違っても、そっちに心変わりしないでね」

専務が言い返した。

「こ…!?」

心変わりって何だ、心変わりって。

そもそも、あなたのお姉さんの彼氏の顔すらも見たことがないんですけど。

「僕はそれよりももっといいものを君にプレゼントするから。

だから、間違っても心変わりしないでね」

「いや、しませんから」

専務がクスクスと笑いながら専務室を後にしたので、私もその後を追った。
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