ロマンスがありあまる
専務もちゃんとしていると言えば、ちゃんとしているけれど…相手には向いていないと思った。

自分の身の丈にあった相手と結婚して幸せになって、それで家族を安心させた方がよっぽどいい。

「――ごめんなさい、専務…」

婚約までしたのに、一方的に別れを告げて申し訳ありません。

だけど、今さらになって私は自分の気持ちに気づきました。

「――専務が好きです…」

嫌いだったはずだった。

どら息子のバカ息子を好きになることなんて絶対にないと思っていた。

それが今はどうなのだろう?

専務の一面や面倒見の良さを知ってしまったせいで、私は彼のことを好きになってしまっていた。

こんな時になって、専務を好きになったなんて…。

「バカだ、バカ過ぎる…」

自嘲気味に呟いた私だけど、それに対して答えてくれる人は誰もいなかった。
< 90 / 107 >

この作品をシェア

pagetop