ロマンスがありあまる
その翌日のことだった。

「お姉ちゃん、起きて起きて!」

興奮気味の紫子に肩を揺すられて、半ば強引に起こされた。

「――んも~、何よ~。

休みなんだからゆっくり寝かせてよ~」

タオルケットにくるまって2度寝を決め込もうとしたけれど、
「寝てる場合じゃないよ、お姉ちゃん!」

紫子にタオルケットを奪われてしまった。

「お姉ちゃんの婚約者だって言うかっこいい人がきているの!」

そう言った紫子に、
「ええっ!?」

驚きのあまり、私は飛び起きた。

眠気なんて一気に吹っ飛んでしまった。

「もう何でそんな大切なことを教えてくれなかったの!?

お父さんとお母さん、すっごいビックリしてるよ!」

「…マジっすか?」

「マジっすよ」

私は自分の頬をつねった。

…痛い、夢じゃない。
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