ロマンスがありあまる
ああ、もう逃げたい…。

専務も専務で、何で家にきたんだよ…。

心の中で彼に悪態をついていたら、
「初めまして」

専務が音を発した。

「鷹司国光と申します。

楓子さんが勤めている『タカツカサ』の専務をしています」

専務が自己紹介を終えると、
「楓子とは、どう言う関係なんだ?」

父が聞いてきた。

その質問に、私の心臓がドキッと鳴った。

「楓子さんは僕の秘書です。

先月に秘書課の人手不足で総務課から異動になったのですが、仕事ぶりはとてもいいと思っています」

専務が父の質問に答えた。

仕事ぶりを褒めてくれたのは嬉しいけど、今は素直に喜べないです…。

「そして…僕は、楓子さんの婚約者です」

続けて、専務が言った。
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