ドキドキ同居しています
「茉莉香! 駅まで一緒に行こう♪」

お兄ちゃんが私の手をつかんで、駅の方向へと引っ張る。

爽やかな王子様スマイルで振り向かれて、心を鷲掴みにされ。

お兄ちゃんのしなやかで温かい手が私の手を握る感触に、胸をドキュンと撃ち抜かれる。

ドキドキが止まらない。

かわいくて、カッコよくて、時折セクシーな表情を見せるお兄ちゃんは、いつも私のストライクゾーンど真ん中を光速で射貫いてしまう。

タイプ過ぎる……。

どうしてお兄ちゃんなの?……お兄ちゃんじゃなかったら絶対に告白するのに……。

崩壊していきそうな理性と必死に戦いながら、駅までの至福の時間を味わう。




駅に着いたら、友達の智沙と理乃がいた。

ショートカットで活発なイメージの智沙と、ボブカットで女の子らしくおっとりした理乃は、中学からのお友達。

「茉莉香、お兄さんと仲良しだね~。手つなぎでここまで来たの?」

「お兄さん、今日もイケメ~ン♪ 私もつなぎた~い♪」

イケメンは何をしても許されるらしい。


「智沙ちゃん、理乃ちゃん。茉莉香に変な虫がつかないように見張っといてね。
シスコンの兄がいてめんどくさいから告ったりしないようにって。
はい、これは2人に賄賂」

お兄ちゃんは、智沙と理乃に、綺麗にラッピングされた手作りクッキーを渡した。
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