ドキドキ同居しています
「茉莉香……映画見ようか……」

「今から見ると、帰りが少し遅くなるけど……いいの?」

「まだ帰りたくなくて……」


お兄ちゃんの瞳が私を捕らえる。


「デートしてる間は、茉莉香といつもより寄り添っていられる気がして……。
家に帰れば、また兄として一線を引かれる」


お兄ちゃんの瞳が寂しそうで。

絡めていた腕を抱きしめてしまう。


そういえば、〈デート〉っていう言葉の魔法にかかって、恋人気分でずっとお兄ちゃんにくっついていた。

いつもは、私からこんなに触れることはなかったのに。
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