永遠に叶えたい愛がある。
「さて、戻りますか」
10分ほど何も考えずただぼーっと座り、エネルギーを蓄えたところで戸締まりをし控え室を後にした。
体育館の後方から階段を上り、来たときと同じように2階からステージ裏へと戻る。
体育館の照明が落ちていて、だんだんと暗くなる方向へと向かい階段を上り切ったところだった。
「ぶっ!」
曲がり角の所で何かにぶつかった。
「おー、チクワ」
「しょうへい…」
まさかの宗平の胸へとダイブ。
「大丈夫か?」
思い切りぶつけた鼻を片手で覆う。
固すぎるぞ、こいつの体。
「いひゃい」
「バカだなあ。ちょっと来い」
そう言われて反対側の手を引かれて来た道を戻った。
明るい所まで出ると立ち止まり、鼻を押さえていた手を取られる。
「鼻血は…出てないな」
「もう、痛かった~」
まだ痛みの引かない鼻をもう一度押さえた。
「潰れた鼻がさらに潰れたな」
宗平が笑う。
「ひどい」
確かにあなたの端正な顔立ちに比べたら、それは潰れたような顔をしてますが?
あくまでも女子にそんな言葉をくれるなんて。
「不細工」
「あ、またそういうことい…ったーーー!」
反論しようとした瞬間デコピン。
この男は本当に私を怒らせるのが得意だ。
「おまえ本当に面白いな」
「うるさい」
鼻とおでこのダブルで痛い。
「さ、行くぞー」
宗平はそう言うと体育館の外へと向かって行った。
「ちょっとどこ行くの?」
慌てて追いかける私。
「サボり」
サボるって、実行委員の仕事どうするのよ。
ま、でもいっか。
今まで自分の仕事以外も手伝ってきたし。
太陽の光を浴びる宗平の後ろを私は駆け足で追いかけた。