永遠に叶えたい愛がある。
この声は。
恐る恐る振り返る。
そこにはポケットに手を入れた宗平が立っていた。
今この人なんて言った?
「チクワ…ぷっ」
横で雄先輩が手で口元を押さえ笑っている。
「“チクワ”ではなく、千曲です!!」
なんなのこの人。
口を開く度に、なんかカチンと来る。
「あ、千曲ね。聞き間違えたわ」
ニヤリと宗平が笑った。
「なんなんですか、この人ーーー!」
私は宗平に指差しながら雄先輩を睨んだ。
「紗英落ち着いて、顔怖い」
弛んだ顔をした雄先輩が私を慰める。
いやいや、落ち着けるか。
初対面なのに…許せん。
「でもさ、チクワって可愛いじゃん」
は?可愛い?
「たしかに、愛嬌ある」
宗平の言葉に勇人も賛同する。
「可愛くない!勝手にあだ名つけないでよ!」
もう、なんだかよくわからない気持ちだ。
「そんな怒るなよ。悪かったって、ほらドリブル教えてやるから」
そう言って宗平はボールを渡してきた。
「あんたなんかにドリブル教わるかーーーーー!」
渡されたボールを私は思い切り、宗平に投げつけた。
なんかもやもやする。
なんなのこの人。
私のことをけちょんけちょんにしやがって。
このわけわからない気持ちどうにかして。