永遠に叶えたい愛がある。
「落ち着いた…?」
しばらく声をあげて泣いた後、落ち着きを取り戻してみると辺りは暗くなり街灯があちらこちら点き始めていた。
正面にある時計台を見ると7時を示している。
どれだけの間ここにいたのだろう。
少し前まで聞こえていた後夜祭を楽しむ賑やかな声も今はもう聞こえなくなっていた。
「…早希、ごめんね」
「私は全然大丈夫だよ」
そう言って早希は再び私の頭を撫でる。
「あーあ、顔ぐちゃぐちゃ」
私の顔を下から覗くと早希は歯を見せて笑った。
きっと今酷い顔をしているのだろう。
それは安易に想像できる。
でもそれだけ悲しくて、辛い。
「あのね…宗平が転校するって」
いつものボリュームで声を出したら、また涙が溢れて来そうで早希に聞こえるかどうかの声を出した。
「嘘、でしょ」
まさかの発言だったのか、途切れた返事をする早希。
宗平に会ったときに聞いたのかと思ったけれど、そうではない様子だ。
「…」
「そんな…」
早希から震えた声が聞こえてきた。
好きって言いたくて、でも言えなくて。
そんなときに傍からいなくなってしまうなんて誰が想像できたと言うのだろう。
これからもずっと傍にいれるものだと思っていた。
学園祭が終わったって、なんだかんだきっと一緒にいれて幸せな日々を送れるんだと信じていた。
「チクワ…」
何度も聞いた私をあだ名で呼ぶ声。
顔なんか見なくたってもう声で誰だか分かる。
会いたくてしょうがないのに、会いたくない。
だってまた悲しくなるから。
傍にいてって言いたくなるから。