永遠に叶えたい愛がある。




「あんなに怒ってる紗英初めてみたかも」




帰り道、帰路を一緒に歩く勇人がそう呟いた。




「ね、自分でもびっくり。こんなわけわからない気持ちになったの初めてだわ」




思い出しただけでふつふつと数時間前の気持ちがよみがえってくる。




こう、地面からマグマがコンクリートを突き破って噴火するような。






「宗平さんさ、めっちゃすごい人だよ」





「はあ?」





勇人を睨み付ける。




すごい人?あいつが?
どこがすごいのよ。




「去年まで他県でトップクラスのプレイヤーだったらしいよ。社会人と練習してたって」





「へえ。そうなんだ」




バスケ界では有名なのね。
興味ないわ。






…まあ、たしかに?
上手ではあったけど。




「紗英毛嫌いしてんなー、宗平さんのこと。あれ以降も“チクワチクワ”って言ってたもんな」




そう。
あのあとも何かある度にあいつは私のことを“チクワ”と呼んだ。




その度に苛立ちを覚え、力んだシュートを送る。




もちろん板に当たって跳ね返されて。




思い通りのプレーにならなかった。




地団駄踏んだ。すべてあいつのせい。





「二度とあいつになんか会いたくない」





顔なんか見たくもない。




むしろ怒りで顔すら忘れかけてる。




どんな顔してたっけ。





「いや、それは無理でしょ。同じ高校だし」





怒りに満ちた私には、勇人のそんな言葉すら耳に入って来なかった。






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