永遠に叶えたい愛がある。
いくつか頭の検査をし、まだ結果は出ていないが特に問題ないだろうということで2日後、予定通り私は退院をした。
若干まだ痛む体を庇いながら病院を出る。
あーあ。
月、火と学校を休んでしまった。
皆勤賞狙ってたんだけどな。
今年はいろいろと災難かもしれない。
そんなことを思いながら、昨日梅雨真っ只中と天気予報で聞いた空を見上げていた。
しとしとと止むことを知らなそうに雨が降っている。
「紗英、お待たせ」
お会計を済ませていたお母さんが出口から出て来た。
「ごめんね、お金かけさせちゃって」
入院費の意外な高さに、迷惑をかけてしまったと思う。
3割り負担の高さが想像をはるかに越えていた。
「何言ってるの。紗英が助かるならいくらでも払うわよ」
「いたっ」
お母さんが私の背中をぽんと叩く。
ありがとう、お母さん。
もう二度とお母さんを悲しませるようなことをしないと心に誓った。
「あ、そうだ。…看護師さんから預かってきたんだった」
そう言ってお母さんがバッグを漁り始める。
あったあった、と取り出した茶色い封筒をお母さんが渡してきた。
「なにこれ?」
特に親しくした看護師さんなんていないのに、退院祝い?
不思議に思いながら中を覗いた。
1枚の紙が入っている。
「あ…」
取り出してみるとそこには達筆な字で、
「“日曜日、白岡駅に10時な”だって…」
書いてあった文字をお母さんが声にして読んだ。
「…っ」
その瞬間、ある時の記憶がよみがえる。
いつかの部活帰りのバス停。
あの時に聞いた言葉。
それは宗平と学園祭の買い出しに行くための約束と同じだった。