永遠に叶えたい愛がある。
病院の帰り道。
久しぶりにお母さんとショッピングをした。
中学生のときの休日はバスケをして過ごし、高校生になってからもなんだかんだ休日に予定があったりで、お母さんとこうしてショッピングなんていつ以来だろうか。
娘とのショッピングがどれだけ嬉しいのか私の横を歩くお母さんの顔が物語っている。
今のお母さんなら欲しいもの全て買ってくれてしまいそうだ。
「これがいいかなあ」
「うーん」
とショッピングモールの一つ一つのショップを渡り歩いては、まるで私をマネキンかのように洋服やアクセサリーを充ててくる。
店内に置かれた姿見を通して次々に変えられる洋服を見て初めてお母さんのセンスの良さに気づいた。
この前買ってきてくれた洋服も可愛く大人っぽく宗平に誉められたくらいだったっけ。
嬉しかったなあ、あのとき。
もうすぐそれもなくなってしまうと思うと…
ううん、今は考えるのは止めよう。
「じゃあこれとこれとこれと…」
いつの間にか姿見の横にある椅子になん着かの洋服が置かれていた。
店員さんに試着はどうしますか?と聞かれるも
大丈夫です、とお母さんが答えレジへと進む。
「こんなにいいの?」
5着の札がスキャンされ、26.000円がレジのパネルに表示される。
「いいのよ!お父さんのボーナス入るからね」
とウィンクする恐るべし母親。
「娘が男の子とデートするんだもの、可愛くしてあげたいと思うのが母親よ」
店員さんから差し出されたレシートに名前を書きつつお母さんが言った。
それに対し、
「愛されてますね」
と店員さんが言う。
なんだか照れ臭くて苦笑いしかできなかったけど、心が温かくなって改めて千曲の家に生まれてこれて良かったって思った。