永遠に叶えたい愛がある。




水曜日は大事をとって休み、木曜日に久しぶりに学校に登校。


 




「大丈夫?」






「その程度でよかった」







「心配かけてごめんね、ありがとう」







足に巻かれてる包帯や腕に残る小さな傷を見ては生徒たちが親身に声をかけてくれた。





私の姿を見ては陰でヒソヒソ話す人たちもいる。





どうやら私のことは学年中に広まっているらしい。





こういう時の注目の的というのは恥ずかしいものだ。











それと、生徒たちから聞こえてくる会話はもうひとつあった。






「紗英聞いた?」





昼休み早々に早希が私の元へと駆けてくる。




どうやら早希ももう耳にしたらしい。





「うん。宗平のことでしょ」





廊下のあちらこちらから聞こえてくる声は、宗平の退学についての話だった。





「今朝、退学届け出したんだってね」





そう言う早希の顔がなんだか寂しそうに見える。




きっと早希なりに私に気を遣ってくれているのだろう。






「みたいだね」





私はできるだけ早希に笑顔を見せた。






これ以上、心配かけられない。






「日曜日に会うことになってるんだ」





「ほんと!?」






そう言うと早希の顔がパッと明るくなった。





とても嬉しそうに。





「いろいろ話してこようと思う」





宗平にはたくさん聞きたいことがある。




たくさん聞かなきゃいけないことがある。




怒ってやりたいことがたくさんある。






前までは私に聞く権利なんてちっともないって思っていたけれど、今は違う。




私にだって聞く権利はできた。










背中を追いかけるあのとき知ったんだ。






これ以上、私はもう走れない。






宗平の背中を追いかけるのはもう最後にしたい。







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