永遠に叶えたい愛がある。
親友の存在
週明け、待ち望んでいなかった時が遂に訪れた。
夏の風物詩である蝉の大合唱が校舎に響き渡る。
太陽の恵みを与えられた屋上のベンチは火傷を負いそうなほど熱い。
7月中旬の真昼の太陽はこんなにもギラギラとしていて眩しいと言うのに、私と横に座るこいつの心には影が差していた。
「紗英どうだった?」
「ん?聞かないでよ」
回収されなかった問題用紙はもうぐちゃぐちゃになってカバンの奥底。
期末テストの最終日はもぬけの殻となっていた。
「補習決定かなー」
ベンチに仰向けになる勇人は不服そうにそう言う。
「第一、学祭があってインハイがあんだもん、勉強に力注げって方が無理だわ」
ぶーぶー言い続ける勇人の横で私は携帯を出した。
実は徹夜でなんとかしようと思っていた私も勉強どころじゃなかった。
期末テスト初日前夜に早希から送られてきた“がんばろう”のメッセージと添付されていた写真。
それを見て思わず笑みが溢れた。
ベンチに腰かけて笑い合う男女。
宗平と私。
いつの間にか撮られていた写メを早希がプレゼントしてくれた。
すごくすごく嬉しくて、ずーっと眺めていて気づいたら携帯を枕にして寝ちゃったりなんかして。
諦めて臨んだテストは徹夜で勉強しなくてもなんとか解答欄を埋めることはできた。
でも結果はどうなのか解答用紙が返ってくるまではなんとも言えない。
ーーーーバン!
屋上の錆びれたドアが開く音と同時に
「紗英ーーー!」
早希の叫び声が聞こえてきた。