永遠に叶えたい愛がある。
「紗英おはよー!部活どうする?やっぱりバスケ?」
入学式から数日、少しずつクラスも馴染んできた。
高校に入って初めてできた友達、佐藤早希(サトウサキ)。
165センチある私の身長よりも10センチ以上は小さい小柄な女の子。
顔立ちも可愛くて、顔も小さくて、まるで私とは正反対な人間だ。
これこそ、女の子っていう感じ。
登校し、教室に入って真っ先に私を見つけ駆け寄って来た。
「早希おはよ。部活ね、私ギター部にしようと思ってる」
「えっ!?」
早希が真ん丸な目で私を見つめる。
それもそのはずだ。
早希は私がずっとバスケを続けてきたことを知っている。
そのことがきっかけで、早希が私に話しかけてきて友達になったのだ。
「えーーー、紗英はバスケだと思ってたのに」
「うん。私もそう思ってたんだけどね」
春休み中の出来事だった。
ドリブルの練習をしてもしても、やっぱり体が付いてこない。
自分が頭で動いてる感覚と、実際の感覚が合わないのだ。
本当のプロならばここを乗り越えて行くのだけど、この先私は本当にバスケの人生を歩みたいのだろうか。
そんなことを春休みを使ってずっと考えていた。
その結果が、ギター部への入部だった。
新しいことをやりたいと思った。
「もういいの?バスケ」
「うん、趣味の範囲でいいかな、と。それよりも今までバスケで明け暮れてて学生生活という学生生活を送ってなかったからさ。高校ではちゃんと楽しもうかなって、学生らしさをね」
「そっかー。残念だけど紗英がちゃんと決めたならいいと思う」
小学生のときからずっと続けてきたバスケを辞めるのは寂しい気もするが、こうやって友達と楽しめることを考えるとそれもそれでいいかなと思える。
曖昧な気持ちのままバスケを続けるのは、バスケにもプレイヤーにも失礼だし。
これでいいんだ。
私は新しい第一歩を踏み出すんだ。