永遠に叶えたい愛がある。
「もうどうしたらいいんだろう…」
ホームルームを終えて早希の元に向うと、私を見るなり早希がそう言った。
「結局勇人君に会えなかった」
そうだよね。
そいつは私と一緒にいたのだから早希が会えるはずなかったんだ。
「…そっか」
申し訳ないけれどこう言うしかない。
ホームルームの間悩みに悩んだけれど解答は何も出てこなかった。
何か別の話題…。
「ねえ早希、お腹空かない?」
担任の話を聞いている途中、あちらこちらからお腹のグル音が聞こえてきた。
そのたびにクスクスと笑い声も聞こえる。
無理もない、本当だったらお昼の時間帯だが今日はテストの後に昼休憩を挟まずホームルームで終了だった。
「うん。空いたかも」
テスト終了日の放課後の学食は空いていた。
みんなきっと外に遊びに行っているに違いない。
私はカレーライスとからあげをカウンターから受け取ると、早希が座るテーブルの真向かいに腰かけた。
「ガラガラだね。私たちもどこか行けばよかったね」
「きっとどこ行っても混んでるよ、たぶんここが一番空いてる」
「たしかに」
私たちは視線を合わせるとどちらともなく笑った。
よかった、いつもの早希だ。
「しかし勇人君もひどいよね、逃げなくたっていいのにさ」
ふいに早希の口から勇人の名前が出て、思わずからあげをつかみ損ねた。
「う、うん」
転がったからあげを箸で刺して口元へ運ぶ。
「でも、本当はわかってるんだ。勇人君の気持ち私に向いてないことくらい。でも私を見てくれないかなーなんて淡い期待をしてたんだよね」
丸ごと口に放り込みムセそうになりながらもなんとか噛み砕いた。
水の入ったコップを私の方へ差し出しながら早希は続ける。
こういう早希の気の遣える部分が私は好きだった。
「それに、勇人君の気持ちが誰に向いてるかも知ってる」
それから早希は小さくそう呟くと、蕎麦をズルズルと啜った。
「そっか…彼女はいなくても好きな人がいないとは限らないよね」
勇人の好きな人なんて聞いたことがない。
そもそもいるのかいないのかすら知らなかった。
「…さすが紗英だわ」
「?」
飽きれたように笑うと早希はまた蕎麦を啜った。