永遠に叶えたい愛がある。
「なんで浴衣じゃないいんだよ」
夕方だというのに蒸し暑い中ミンミンと大合唱するセミと、会って一言目がこれのこの男。
「だって暑いし歩きにくいじゃん」
勇人だって浴衣じゃないくせに何言ってんだ。
「相変わらず色気ねえな」
「勇人に色気なんて見せる必要ないもん」
「宗平さんにはいつになったら見せられるんだ?」
「どういうい…」
言いかけて気づいた。
勇人の意地悪。
いつになったら見せられるのかなんて、そんなの。
数日後かもしれないし、何十年後かもしれないし、最悪一生見せることなんてできないかもしれないのに。
「あ…悪い、そういう意味じゃなくてさ」
何かに気づいた素振りで慌てて勇人が謝ってきた。
「…ぷっ!めちゃくちゃ真剣…」
勇人の姿に笑いがこみ上げる。
「わざとかよ」
この感覚久しぶりだ。
数か月前まではこれが当たり前だったのに、環境が変わるとここまで大きく変わってしまうんだね。
「いや、わざとじゃないけど勇人が面白くて」
夏休みの初日、近所に住んでいるのに神社の入り口で待ち合わせをした。
すでに参道は屋台でにぎわっている。
私たち二人は並んで境内に向かって屋台の間を歩き始めた。