永遠に叶えたい愛がある。
今、なんて言った…?
「ちょっと待って…」
おまえって私のこと、だよね?
ぐるぐると勇人の言葉が頭の中を駆け巡る。
私の脳みそは処理能力が悪いようだ。
「でも、正確には“好きだった”かな」
「えーっと、ごめん。よくわからない」
私の処理能力に目の前を何度も行き交う履き物たちが邪魔をする。
だめだ。
私は目を瞑ってゆっくりと息を吸った。
「つまり、勇人は私のことを…」
「そう」
全く気づきもしなかった。
考えもしなかった。
勇人とずっと一緒に生きてきて、親友と言い合っていたのに。
どうしよう。
私は本当に自分のことばかりだったんだな。
勇人はいつも傍にいてくれて、いつも私を気にかけてくれていたのに。
一体私は何をやっていたんだろう。
「…ごめん。私最低だ」
自分の不甲斐なさを改めて実感した。
「いや、紗英が自分を責める必要はないよ」
それに、と勇人が話を進める。
「佐藤さんに心が惹かれてるのも嘘ではないからな。だから紗英になんの非もない。前にも言ったけど、ありのままでいいんだよ。自然に任せておけば」
そう言った勇人の横顔がなんだか大人びて見えた。
「だから佐藤さんと向き合えなかった。でもこれでちゃんと向き合える気がするわ」
何と言ったら正解なんだろうか。
何にも言葉が出て来ない。
黙っていると正面を向いたままの勇人が立ち上がった。
暖かい夏の風が頬を掠める。
「今日はありがとな」
上を見上げると今までで一番かっこよく笑った勇人がいた。
私たちはここからそれぞれの道へ進んでいくことになるだろう。
行き着く場所がお互い幸せであるように。
これからも親友で幼なじみ、それは変わらない。
「私こそ、ありがとう」