永遠に叶えたい愛がある。




「じゃあ、こんなのどうかな?」




と、早希は親指と人差し指をくっつけてできるO(オー)くらいの大きさのお花の形をした何かを鞄から出した。



それを少し伸びた私の前髪を耳にかけ、カチッという音とともに耳元に着けた。



どうやらクリップみたいになっているらしい。




「じゃーん!」




そして早希は机の上に置いてたポーチから手鏡を出して、私に向けた。






右側の耳にピンクのお花が咲いている。




「わっ…」




鏡に映った自分に驚く。



おでこが出ている自分が自分じゃないみたい。





それにそれに。




「なに、このキラキラな感じ」




小さなピンクのお花を着けただけで印象が明るくなった気がする。




なんていうか、雰囲気が女の子みたい。




いや、女の子なんだけれども。




「ほら、可愛い!やっぱ紗英可愛いよ」




早希が満面の笑みでそう言うと




「えーなになにどうしたの?」




「千曲さん可愛い!」




「その方がいいよ!」




周りにいた女の子たちが近づいて来ては私の顔を次々と覗く。




何が起きているのか理解できない私は、ただただ呆然としていた。





「紗英、よかったね!今度そういうアイテム買いに行こう!」




「…う、うん!」




なんだかよくわからないけど、私も女の子なんだ。



忘れかけていた、女の子。



たったひとつアイテムを着けただけなのに、この気持ちは一体なんなんだろう。




ふわふわ、ほわほわ、ぽかぽか



うーん…言い表せない。




でもなんか、嫌いじゃない。



むしろもっとこの気持ちを知りたい!




早希のおかげで新しい自分を見つけた気がした。




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