永遠に叶えたい愛がある。
恐る恐る女性の方へ顔を向ける。
「え…」
目が合った女性も一瞬にして顔を強ばらせた。
「あ…やみさん…」
信じられない光景が広がっている。
「二人知り合いなの?」
綾美さんと私を交互に見るマスターが声を出した。
「…」
何も答えられない、いや答えられるはずもなかった。
だって。
幸せだったあの時間を私から奪った人。
なんで、ここにいるの。
「あ、コーヒーコーヒー」
空気を察したのか、マスターがカウンターに戻った。
マスターの声も、さっきまで聞こえていた蝉の声さえも今は耳に入らない。
「えっと…」
先に言葉を発したのは綾美さんだった。
その声にハッとして、私は勢いよくテーブルに広がるものを鞄にしまった。
「マスター帰るね」
「え!?」
驚いて私を見るマスターを気にすることなく立ち上がり鞄を肩に掛ける。
正直今はここにいたくない。
私の大好きな場所なのに。
どうして、どうして綾美さんがここにいるの。
勢いよくドアを開けると、真夏の日差しが一気に差し込んできた。
「待って!」
きっとまだ暑い夏は続いていく。