永遠に叶えたい愛がある。
卒業間近
いつか夢見てた。
同級生の可愛いあの子が話してること
綺麗なあの子も話してること
好きってなんだろう。
恋ってなんだろう。
そんな言葉がちらほら飛び交いはじめた
中学の卒業間近。
未完全な私たちには、想像もできない、不思議な言葉たち。
「さーーーえーーーー!」
幼いころから聞きなれた声が教室の隅にいる私の耳元に届いた。
卒業間近のいつも以上にざわめく教室。
進学する高校が違い、離ればなれになる同級生もいて、寂しい気持ちを抱きながら、残りの数日を過ごそうとみんながきっと同じ気持ちになっている。
私を呼んだ声の持ち主、近所に住む幼なじみの勇人(ハヤト)が最後の英語の授業の文字たちを消す私の横に立った。
「紗英!お前明後日の日曜日、グラウンド集合な。朝10時」
私は書き尽くされた黒板の文字を半分まで消すところで、手をやめ、勇人に向く。
幼いころから変わらない天使のような微笑み。
女の子である、私よりも数倍もかわいい顔立ち。
「10時ね、オッケー」
親の指示で胸の位置まであった長い髪をバッサリと切った私の髪。
まるで女の子のおの字も感じられない私の見た目、完全に勇人に負けている。
私たちが並んで立つと知らない人は勇人の方が女の子に見えるだろう。
「雄(ユウ)先輩たちも来るって言うからさ、俺ほんと楽しみなんだよ、今日も放課後練習しようぜ」
天使のような可愛い顔で、言葉遣いは男の子。
幼少気から知っている勇人の言葉遣いが男の子になったときは、思わず笑ってしまったこともあった。
「了解!練習しよ!」
中学3年生は、中には大人っぽい子も、相応な子もいて、きっと思春期真っ只中な子もいて。
一体、私はどの部分に値するのかなんて、この頃はきっとわかりもしなくて。
ただ、小学生のころからがむしゃらに頑張ったバスケットボールだけは大好きだって、理解していた。
勇人と放課後に練習する約束もバスケットボールだ。