永遠に叶えたい愛がある。







「相談もなく、本当にごめんね」







以前の私ならなんでも勇人に打ち明けていた。






でもほんのここ最近たぶん原因は私にあるのだろうけれど、“勇人に話す”という考えに至ることが少なくなった気がする。






理由はわからない。





ただ、なんとなく。






恥ずかしいわけでもないし、嫌なわけでもない。






ただ、バスケについて考えているときに勇人のことは一ミリも思い浮かばなかった。






それだけ。






でもそんなこと本人にどう言ったらいいのか。






言えるわけがない。















「…俺にダメって言う権利はないよな」






勇人はトンッと壁に背を預けた。





私も並ぶように壁に背を向ける。





さっきまでの口調とは違っていつもどおりの穏やかな勇人の口調に戻っていた。













「私のバスケ人生は中学で限界だったと思う」










“限界”という言葉だけで片付けられるような問題じゃない。






それだけ時間や体力、努力を費やしてきた。






でも、感じてしまった。










突破する余力も、希望も、ない。







単なる“逃げ”なのかもしれない。







だから辛かった。















「そっか…」







横に並んでるからわからないけど、今勇人はどんな気持ちでどんな表情で聞いているのだろう。








正直、不安。







勇人だけは失えない。








それなのに、迂闊な行動だった。







申し訳なさでいっぱいになって、胸が痛い。







勇人の口から出てくる次の言葉がこわい。






















「まあ、紗英が決めたなら俺応援するわ。お前は考えや意思を曲げるやつじゃないって知ってるからさ」







「勇人…」








すーっと胸の痛みが引いていく。






力んだ体を緩めると、両目の端から何かこぼれ落ちた。












そうだった、昔から勇人はこういうやつだった。






私の考えや行動に一切否定しない。






問題を抱えれば一緒に考えてくれて、最終的には私の意見に賛同してくれる。






そんなこと、わかりきっていたことなのに。







何を恐れていたんだろう。










「…ありがとう、ありがとう勇人」












ふわふわ




ぽかぽか









あれ、まただ。




この知らない気持ち。










一体なんなんだろう。









胸がスーッと温かくなる。










「俺たち親友だろ」





目の前に勇人の顔が覗き込んできた。



満面の笑みで。





なんとなく照れ臭くなって






「おうっ」





と、また女の子っぽくない返事をしてしまった。





< 23 / 173 >

この作品をシェア

pagetop