永遠に叶えたい愛がある。
「あれ」
窓の外を見ながら歩いていると男の人の声が聞こえてきた。
必然的にその声の方を向くと長身の見たことある顔が。
「げっ…」
勝手に言葉が出てしまい、慌てててで口を塞いだ。
「げってなんだよ。チクワちゃん」
相手の茶色い髪が夕日でさらに明るくさせている。
私が最も会いたくなかった、強いて言えば忘れていた存在。
「谷岡宗平…」
なのになぜか自然にフルネームが出てきた。
「覚えててくれたんだ」
谷岡宗平がニヤリと笑う。
今の今まで忘れていたはずなのに、あのときの嫌な記憶が走馬灯のように頭の中を駆け巡った。
「なんですか」
前に会ったときはジャージ姿だったが、今はネクタイを緩めスラックスを腰よりも少し低めで履いて、ザ男子高校生だ。
「冷たいなあ、久しぶりの再会なのに」
別に会いたくなかったよ。
喉元まで出かかったが、寸前で止めた。
「…部活じゃないんですか?」
「俺は自由なの。試合には出るって約束で」
うわ、なんか嫌味なやつ。
それに本当に必要とされているプレーヤーっていうのが憎い。
「そうなんですか。…それじゃあ」
足早にその場を去ろうとした。
なんとなくあまり関わっていたくない。
「待てよ」
谷岡宗平の横を過ぎようとした瞬間、右腕を引っ張られる感覚がした。
ふわっといい香りがする。
何の香水だろう。
いやいや、ちがう。
その腕の方向を向き、私の腕を持つ谷岡宗平を睨んだ。
「っ!?」
が、意外にも顔が近く慌てて目を反らす。
「な、なんなんですか!」