永遠に叶えたい愛がある。
資料をそっとずらしてちらりと宗平の顔を伺う。
つい昨日、夕日を浴びた綺麗な顔とは別の顔みたいに怖い顔をしている。
この顔はきっと本気でコキ遣う顔だ。
初めて見る顔つきだけど、不思議とわかってしまう。
それくらい怖い。
「かっこいい顔が台無しだよ…?」
「誰のせいだ!」
ゴンっといい音が鳴った。
頭に重みを感じる。
「いった…って、うわっ」
宗平は手を頭に乗せると髪をぐしゃぐしゃにした。
「まずは買い出しだよな。俺はリストをあげる。買い出しはお前だ、いいな?」
「え、買い出しなんて一人で行けるわけないじゃん!」
なんの買い出しなのかわからないけど、絶対に一人でなんて無理に決まっている。
「誰も一人でとは言ってない。友達でも誘え」
「そんなあ…ってちょっと!」
宗平は私が髪を整えてる隙にブレザーのポケットからスマホを取った。
手を伸ばすも間に合わず。
「連絡先入れといたから」
画面には宗平の名前と電話番号が表示されていた。
「あ、あのさ…」
言いかけた瞬間だった。
キーンコーンカーンコーンーーーーー
「はい、時間切れ。戻るぞ」
早希について話そうと思ったがタイミングが悪くお昼の終了を告げるチャイムが鳴った。
宗平の後を追って廊下を出る。
「じゃ」
階段まで歩くと宗平は後ろにいる私に背を向けながら手を挙げた。
私はその後ろ姿にべーーっと舌を出し、怒りに任せて勢いよく階段をかけ上がる。
くっそう。
関わりたくないと思っていたのに。
入学早々、これから大変なことが待っていると思うと先が思いやられる。
高校生活は楽しいことが待っていると思っていたのに。
まさかの選択ミスだった。
でも、学祭が終わるまでの我慢だ。
文化祭は7月の上旬。
あと約2か月、カウントダウンは始まった。