永遠に叶えたい愛がある。
はじめての気持ち
「紗英おかえり~」
にこやかな笑顔で早希は私を迎えた。
「ただいま…」
お昼の途中から教室を出てからまだ20分ほどしか経っていないのに何日も経ったような疲れを感じる。
「王子との逃避行どうだった?」
逃避行って。
「学祭委員会が今日あることすっかり忘れててさ、んで宗平も一緒らしくて迎えにきてくれただけだよ」
何を期待しているのかニヤニヤが止まらない早希。
「えー!羨ましい!私も学祭委員会がいい!!」
私は今から代わってもいいんだけど。
でも宗平に何を言われるか、想像しただけでも怖い。
「いいことないよ。買い出しの係だし、たぶん大変」
宗平と一緒だと言うことは隠しておこう。
「あー、それはちょっと嫌だなあ。大変だねこれから」
ですよね。
誰だって面倒なことは避けたいものだ。
「紗英ギター部の演奏もあるんでしょ、学祭」
そう言われてハッとする。
「やばい、入部届け出してない!」
昨日から色々なことが起こりすぎて部活に関してのことが一切頭から消えていた。
「あらま…」
今度は哀れんだような顔で私を見る早希。
「ありがとう早希!」
そこで午後の授業の始まりを告げるチャイムが鳴った。
小さく吐息を一つ。
やっと落ち着けた。
頭の中を過るのは宗平の顔。
昨日から驚きの連続。
夕日に照らされた宗平の顔。
少し笑みを浮かべた後ろから見た宗平の顔。
怒った宗平の顔。
トクン、トクン。
思い出す度に鼓動が大きく聞こえる気がする。
そしてやっぱり体が熱くなる。
この気持ちって一体なんなんだろう。